米国の大統領選挙について語る気になれないが、語らない理由は書ける。結果が大方の予想と違ったからではない。米国のことがよく分からないから語らない。ただ、それだけだ。
選挙後に大量の記事を読んだ。投票の分析にも目を通した。結論は、やはり分からない、としか言いようがない。
投票行動とは合理的な判断と感情の両方がまざっている。だから政治社会的な善悪と経済的な損得の優先順位について分かり、生活圏での気分が伴わないと、投票者の決断がはっきりとみえてこない。
イタリアに住んで26年になるが、イタリアのことも実感として分かるには時間がかかった。正直にいえば、今も分からないと言えば分からない。が、仮に日本にずっと住み続けていたとしても、日本のことで分かることなんて極めて狭い範囲に限られるだろう・・・ということは確信をもって言える。
ただ、分からないと言い続けても仕方がないから、どこかの段階で、「こんな感じで分かったことにする」という線をひく。そのレベルでは、英国のEU離脱の国民投票の結果は、「そうかもなあ」と思える部分がもっとあった。
米国の選挙結果にも、「そうかもなあ」とは思うが、他人に説得性のある説明ができるほどではない。
それだけ人々の本音を知るのは難しい。