日印、原子力協定に署名 首脳会談で連携強化確認 原発輸出弾み

 安倍晋三首相とインドのモディ首相は11日、官邸で会談し、日本からインドへの原発輸出を可能とする原子力協定締結に最終合意した。その後、両政府は協定に署名した。被爆国の日本にとり核拡散防止条約(NPT)未加盟国との締結は初めて。核実験再開時には日本の協力を停止する内容を別文書で確認する。日本の新幹線方式が導入されるインド西部の高速鉄道計画について、工期を示した合意文書も取りまとめる。両首脳は会談後、成果を盛り込んだ共同声明を発表した。

 会談冒頭で安倍首相は「モディ氏の訪日を通じ、日印関係を飛躍的に発展させたい」と強調。モディ氏は「関係を深化させたい」と応じた。

 日本政府はインドとの協定締結で原発輸出に弾みを付ける。だがNPT未加盟国との締結は「核兵器のない世界」を目指す方針に反するのは否めず、国内外から批判が出るのは必至。政府は協定により平和利用が担保されるとして理解を求める考えで、来年の通常国会での承認を目指す。

 会談では、影響力を強める中国を念頭に、経済や安全保障など包括的分野での連携強化を確認した。新幹線方式の導入をめぐっては、昨年12月の首脳会談で合意したインド西部の商業都市ムンバイとアーメダバード間の約505キロを結ぶ路線について着工時期などを協議。

 安倍首相は、インドが計画する残り6路線への新幹線方式の導入も働き掛けたとみられる。モディ首相は首脳会談に先立ち東京都内で岸田文雄外相とも会った。