環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案が10日、衆院を通過し、政府・与党は今臨時国会での承認、成立を目指す。TPPが発効すれば、日本は世界の国内総生産(GDP)の4割を占める巨大な自由貿易圏に参加することになり、輸出や投資の拡大で受ける経済的な恩恵は大きい。政府は、TPPのGDPの押し上げ効果を約14兆円とはじき、“果実”を最大限に取り込むため、国内環境の整備に万全を期す。
名目GDP600兆円の達成を目指す安倍晋三政権は、TPPを成長戦略の柱と位置付けてきた。
政府の試算では、TPP発効によりGDPが平成26年度比で2・6%拡大し、80万人分の雇用が生まれる。世界銀行も、ほぼ同規模の2・7%の押し上げ効果を見込んでいる。
追い風となるのは製造業、農業などの輸出拡大だ。TPP域内で最大市場となる米国向けの乗用車は2・5%の関税が25年かけて撤廃され、自動車部品の関税は87%が即時撤廃される。日本車の価格競争力が高まることになる。
農林水産物は日本以外の参加11カ国で平均98・5%の品目の関税を撤廃する。野菜、果物、和牛など高品質な日本の農産物の輸出拡大に弾みとなりそうだ。