米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝ったことで9日の金融市場は荒い値動きとなった。そこで前財務官の山崎達雄氏に為替市場や世界経済の先行きを聞いた。
--9日の金融市場は乱高下した
「市場が不意を突かれたので株安ドル安になったが、この変動自体は短期的だ。経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が変わったわけではない。トランプ氏は金利上昇を容認しており、利上げもしやすい状況なので、ドルが安くなる要因はないと思う」
--日本や世界経済への影響は
「トランプ氏は大胆な法人税や所得税の減税や規制緩和などで強い米国を目指している。米国が成長すれば、日本や世界経済にとってプラスになる」
--環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱を明言している
「TPPをやめて一番喜ぶ国は中国だ。中国に対しては為替操作国として認定するなど通商政策で強く対抗すると言っており、矛盾する部分もある。(日本などが)トランプ氏が考え直す材料をインプットする必要がある」
--米国で保護主義が台頭する恐れがある
「20カ国・地域(G20)は保護主義への反対で一致しておりうまく修正できるかがポイントだ。首脳同士の話し合いの場を早く設けた方がいい」