【ニューヨーク=上塚真由】女性初の米大統領を目指す民主党のクリントン前国務長官(69)に対し、選挙戦終盤になっても同性の有権者の盛り上がりが欠けているのが目立っている。共和党のトランプ氏(70)が数々の女性蔑視発言で支持率を下げたものの、クリントン氏を嫌う女性層は根強く残る。女性たちはなぜ、クリントン氏支持で「結束」しないのか。
「女性大統領が誕生するのはうれしい。でも、それがクリントン氏じゃなく、他の女性候補だったらよかったのに…」
ニューヨーク市クイーンズ地区に住む主婦のエミリア・カタルドさん(34)はこう語る。クリントン氏不支持の最大の理由は経済政策という。1990年代に夫のクリントン元大統領が進めた福祉改革で、カタルドさんの父親は生活保護を受けられなくなった。その後、父親は仕事を見つけたが、北米自由貿易協定(NAFTA)で失業者が増え、一家は解雇におびえる生活を送ったという。
カタルドさんは「ウォール街と近すぎるクリントン氏が大統領になっても同じことが繰り返される。でも、トランプ氏を打ち負かすことができるのは彼女しかいない」と、複雑な胸の内を明かす。