秋の臨時国会。カジノを解禁し統合型リゾート(IR)を推進する法案の行方が注目されている。この秋、カジノ王国・マカオに誕生した大規模なIR「ザ・パリジャン・マカオ」。その事業主体で世界一のカジノ運営会社、米ラスベガス・サンズ社のシェルドン・G・アデルソン会長は「法案が通れば日本進出に手を挙げたい」と意欲を示した。カジノ誘致に賛否が分かれるいま、海外からの熱い視線にどうこたえるか-。(巽尚之)
どうなる、IR法案
注目のIR法案。超党派の国際観光産業振興議員連盟(通称「カジノ議連」、会長細田博之・自民党総務会長)は今国会での成立をめざし、12日に総会を開いた。細田会長は「臨時国会で審議を開始し成立を図る」と挨拶。カジノ誘致をめざす大阪府の松井一郎知事らも出席し、法案成立を求めた。
与党内でも公明党は「ギャンブル依存症が増える」「治安が悪化する」と慎重だが、議員立法のIR法案に対し井上義久・公明党幹事長が「審議するのが基本」と語るなど軟化の姿勢を示しているとの観測もある。公明党とパイプのある実力者でIR推進派の二階俊博自民党幹事長も公明党への働きかけを強めるとみられ、関係者の間では法案成立に期待の声が高まる。
カジノ推進論者の谷岡一郎・大阪商業大学長は「政府は2020年に訪日外国人旅行者4000万人を目標にしているが、そのためにもIRをつくり集客体制を整備していく必要がある。カジノを含むIRは景気が悪いときでも一定の観光客が訪れ安定的な収益が見込める」と訴える。