財務省は20日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会を開き、戦闘機など防衛技術の研究開発で得られる知的財産権を活用すべきだと提言した。防衛省が持つ特許権で使用料を得たのは防護装備1件のみで、国費を投じ確立した防衛技術の民生技術への活用が進む中、特許使用料などの収入増につなげる。
防衛技術は近年、民生技術との垣根がなくなりつつある。国も現在、産業力強化を目指し、軍民両用(デュアルユース)研究を推進している。
中でも、準国産のF2戦闘機の技術は民生品に幅広く波及している。複合材の一体成型主翼は、米ボーイングの中型機787の主翼に応用。レーダーは自動車の衝突防止システム、チタンボルトは医療用の補強ボルトに活用された。
一方で、防衛省の知的財産管理の体制が整っているとは言い難い。防衛省が保有する特許権で、民間企業から使用料を得た実績があるのは、陸上自衛隊の防護マスクと防護衣「00式個人用防護装備」の1件にとどまっている。これに対し財務省は「防衛技術の知的財産権の適正な活用について検討する必要がある」と提言。企業から使用料を得ることなどを促した。
分科会では公共事業分野も取り上げ、国土交通省に対し空港の運営権売却(コンセッション)を原則として全ての国管理空港に拡大するよう提案した。売却先がみつかりにくい赤字空港も含め、地域活性化や財政改善につなげるよう求めた。
また政府が成長戦略として打ち出している、小型無人機「ドローン」などを活用して建設業の生産性を2025年までに20%向上させる方針については、生産性向上を確認できる具体的な指標の導入を要求した。