ロッテ創業者らを在宅起訴 横領や背任などで 韓国検察、捜査終了

 【ソウル=名村隆寛】韓国ロッテグループの不正疑惑でソウル中央地検は19日、ロッテグループ創業者の重光武雄氏(韓国名・辛格浩)氏(94)と、次男で韓国ロッテグループ会長の重光昭夫(同・辛東彬)氏(61)、長男の宏之氏(同・辛東主)氏(62)を、横領や背任、脱税などの罪でそれぞれ在宅起訴した。

 昭夫被告は、系列会社の実体のない役職に宏之被告らを就かせ、計508億ウォン(約47億円)を給与の名目でロッテグループから支払わせた横領罪と、事業損失を系列会社に肩代わりさせ、計1245億ウォンの損害をグループに与えた背任罪に問われた。

 武雄被告は、日本のロッテホールディングス(HD)の他人名義の株式を親族らに譲渡した際の、贈与にからむ約850億ウォンの脱税と横領の罪で、宏之被告は実体のない役職で不正報酬を受け取った横領罪で在宅起訴された。

 検察はグループの巨額裏金捻出による李明博前政権への贈賄疑惑の摘発を狙い、6月から捜査を行っていた。しかし、8月にグループナンバー2の李仁源副会長が取り調べ直前に自殺。9月、昭夫氏の逮捕状を請求したが、ソウル中央地裁は「逮捕の理由と必要性を認めるのは難しい」として棄却され、再請求を断念した。

 検察はすでに、武雄氏の長女、辛英子ロッテ奨学財団理事長(74)を背任収財、脱税の罪で起訴。武雄被告と内縁関係にある徐美敬被告(57)も脱税罪で在宅起訴している。

 約4カ月にわたる一連の捜査は終了した。逮捕という最悪の事態は免れたものの、創業者一族5人が裁判を受けることになったロッテ側は法廷で争う構えを示している。