韓国側からの要請で日韓通貨スワップ再開協議が決まった。韓国は頼みとする中国のリスクの増大から、国際金融面で日本とのよりを戻したというわけだろうが、日本は韓国の対中従属関係をもはや容認するわけにはいかない。
特にその意を強くしたきっかけは、日韓合意の間もない9日の、北朝鮮による5回目の核実験である。国連による制裁にもかかわらず金正恩政権が核とミサイル開発に血道を上げられる背景には中国の習近平政権による実質的な「制裁破り」がある。北京が対北融和路線を撤回しない限り、金正恩は態度を改めそうにない。北が核弾頭を装備し、米本土まで届く長距離ミサイルを開発する情勢なのだから、米側の危機感はかつてなく高まっている。オバマ政権は弱腰かもしれないが、11月の大統領選の結果、政権がクリントン、トランプ候補のいずれになろうと、ワシントンは北の資金稼ぎに協力する中国の金融機関や企業を対象に制裁する公算が大きい。
そこで日韓とも米国と同調するのは当然だが、韓国がずるずると対中依存を続けるままでは、北京からいいかげんにあしらわれるだろう。
朴槿恵政権の対中すり寄り路線は経済面でみてももはや破綻同然だ。対中輸出は韓国国内総生産(GDP)の12%程度と大きいが、中国市場はスマートフォンを含め国産メーカーの台頭で韓国勢は押されている。それに何よりも、韓国が日本に通貨・金融で協調を求めざるを得ないのは、中国が支援する北朝鮮からの脅威増大がある。