東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉に参加する日本や中国、韓国、インド、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など計16カ国の首脳は8日、ラオスで「交渉の迅速な妥結」を目指すとした共同声明を発表した。目標だった年内妥結を断念し、表現を後退させた。新たな期限も示さなかった。
交渉関係者によると、7日までラオスで行われた非公式の事務レベル協議で「交渉の越年はやむを得ない」との認識で一致した。声明は、交渉で「さらなる進展があった」としながらも「相当な作業が依然残っている」と指摘。「参加国の異なる発展段階を含む多様性」を踏まえて「適切な方法を見つけ出す」とし、急激な市場開放を警戒する中国やインドへの配慮をにじませた。
16カ国は昨年の閣僚会合で、関税をなくす品目の割合を示す貿易自由化率の当初目標を原則80%とすることで合意したが、個別品目の交渉は遅れている。
韓国やタイ、フィリピン、インドネシアは、米主導の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関心を寄せており、RCEPの早期妥結に向けた機運は高まっていない。
次回の事務レベル会合は10月に中国・天津で行われる予定。(ビエンチャン 共同)
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【用語解説】東アジア地域包括的経済連携(RCEP)
東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国に日本と中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた計16カ国による広域の経済連携協定(EPA)構想。関税の撤廃・縮小や投資、サービスなどの分野の参入障壁撤廃、知的財産保護を目指す。2013年に交渉を開始した。(ビエンチャン 共同)