【上海=河崎真澄】中国税関総署が8日発表した8月の貿易統計によると、ドルベースの輸出は1905億9200万ドル(約19兆3450億円)と前年同期比で2・8%減少し、5カ月連続で前年を下回った。
輸入は1385億4300万ドルで1・5%増と、2014年10月以来、約2年ぶりにプラスに転じた。
ただ、輸出入を合わせた貿易総額は、8月で1・1%減、1~8月の累計で前年同期比7・9%マイナスと弱含んでいる。中国の経済成長を支えてきた貿易の先行きはなお不透明だ。
浙江省杭州で5日閉幕した20カ国・地域(G20)首脳会議で鉄鋼の過剰生産が問題視されたが、中国からの鋼材の輸出量は1~8月累計で6・3%も増大。一方で輸出額は14・5%も減少し、洪水のような安値輸出を続けていることが貿易統計から裏付けられた。
8月単月の輸入微増は原油など原料価格の上昇が背景にあるとみられるが、インフラ建設など公共投資を中心とする景気てこ入れ策の影響で、内需が動き出した可能性もある。中国政府は減税などの景気支援策を続け、個人消費を含む内需拡大策を強化していく。