財政審、予算編成へ議論開始 社会保障の歳出改革が争点 (1/2ページ)

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は7日、年末の2017年度予算編成に向けた議論をスタートした。優先課題は高齢化で増加する社会保障費の圧縮で、患者の自己負担を減らす「高額療養費制度」見直しや高額薬の薬価引き下げなどが論点となる見通し。11月ごろの建議(意見書)提出を目指す。

 麻生太郎財務相は7日の財政審分科会で、予算編成に向け「社会保障費の伸びを抑えるなどの歳出抑制が進むよう、各分野の改革内容などを活発に議論してほしい」と強調した。

 8月末に締め切られた各省庁からの概算要求は一般会計総額が101兆4707億円と3年連続で100兆円を超えた。予算圧縮には歳出の3割を占める社会保障費の削減が不可欠だ。

 厚生労働省は17年度の社会保障費の伸びを約6400億円と見込むが、財政健全化計画では年約5000億円(16~18年度で1兆5000億円)に抑える目安を設定。予算編成過程で1400億円を削る必要がある。

 財政審の吉川洋会長(立正大教授)は会合後の記者会見で「どう伸びを抑制するか、しっかり議論する」と力を込めた。昨年の診療報酬改定のように、大きく歳出を削れる制度改正が今回は期待できないためだ。

 歳出抑制に有力とみられているのが、高額療養費制度の見直しだ。1カ月の自己負担額に上限を設け、超えた分は払い戻される仕組みだが、70歳以上の自己負担の上限額が現役世代より低く、それを引き上げるかが焦点となっている。

 高額な医薬品の薬価引き下げも議論されるとみられる。新型がん治療薬「オプジーボ」は、日本では患者1人の投与で年約3500万円かかるとされるが、英国では約780万円。厚労省は18年度の次回薬価改定を前に、特例的に値下げすることを検討している。