中国・杭州で4、5日に20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれる。世界経済の下支えに向け、各国が協調姿勢を打ち出せるかが焦点だ。英国の欧州連合(EU)離脱問題の影響に加え、過剰な生産能力や不良債権を抱える中国経済の減速が下方リスクとして浮上している。議長国の中国に対し、構造改革などの対応を求める声が強まる可能性がある。
国際通貨基金(IMF)は1日、G20全体の国内総生産(GDP)を2018年までに約2%底上げする目標の達成は見通せないとの報告書をまとめた。世界経済の成長は力強さを欠いたままだ。
6月に英国のEU離脱が決まった直後に動揺した金融市場は落ち着きを取り戻しつつあるものの、域内投資の縮小など離脱の影響が長期化する可能性がある。
懸念されるのが中国経済だ。国際市況の下落を招いた鉄鋼などの過剰な生産能力は解消されず、民間シンクタンクの試算では金融機関の潜在的な不良債権は約190兆円に上る。米国では年内の利上げが想定されるが、新興国は資金流出の恐れがあり、人民元が急落すれば世界の株式・為替相場に打撃を与えかねない。