肉の生産が温室効果ガスの排出に影響しているとして、国連機関が「肉食」への課税を示唆した報告書を公表し、波紋を広げている。中国などの新興国が先進国と同じ食生活をすると、世界は深刻な環境問題と食糧危機に直面するというのだ。すでに一部の国では「肉税」の導入を議論しはじめており、日本も注視せざるを得ない状況が訪れるかもしれない。
「もはや隠し通せない時期」
報告書は国連環境計画(UNEP)の国際資源パネル(IRP)が今年5月に公表した。人口増加と食生活の変化、気候変動が、今後数十年間で食糧生産に危機をもたらすとして「食糧システムの根本的な変化が必要だ」と訴えている。
内容は多岐にわたるのだが、ニュースの焦点が当たったのは「肉税」だった。
英紙ガーディアン(電子版)は「中国のような新興国が欧米を模倣して肉を食べるならば、世界は深刻な環境問題に直面する」と報じた上で、報告書をまとめた専門家がこう述べたと伝えている。
「消費者レベルで課税するのは、挑発的だが効果はない。サプライチェーン(供給網)の初期で価格を上げる方が簡単でいい」