政府は17日、観光資源になる国内各地の文化財を積極的に海外発信していくため、国の「外国青年招致事業(JETプログラム)」に参加した外国人OBを活用していく方針を固めた。インターネットを通じた情報提供のほか、現地の掲示板やパンフレット類の外国語版作成での協力を想定している。政府は6月に策定した成長戦略に文化財事業の収益化を盛り込んでおり、海外発信を充実させて誘客を拡大したい考えだ。
文化庁は月内にもまとめる報告書に盛り込み、自治体に活用を呼びかける。
JETプログラムは、海外の若者を地方公務員として最長5年間任用し、全国各地の小、中学校・高校で外国語やスポーツなどを教えたり、地方自治体で国際交流のために働いたりしてもらう事業。1987年度の事業開始からこれまで6万人以上が参加した。
参加者は日本の文化に興味があった上、滞在した地域の文化財に詳しい人が少なくない。また、文化財観光は裕福な欧米人を中心にニーズが高いという。
政府は、日本人でないと理解できないような文化財の歴史背景や基礎知識についても“外国人目線”で解説してもらうことにしている。OBの活用を希望する自治体は、窓口である一般財団法人「自治体国際化協会」などに要請する。
政府は成長戦略で、名目国内総生産(GDP)600兆円の実現に向け、文化財を中核とする観光拠点を2020年までに全国に200カ所整備する目標などを設定している。