5月の主要経済統計が1日、出そろった。人手不足で企業の採用意欲は引き続き高く、有効求人倍率は24年7カ月ぶりの高水準となったが、消費支出は3カ月連続のマイナスで、個人消費の弱さが浮き彫りになった。消費者物価指数も約3年ぶりの下落幅を記録。英国の欧州連合(EU)離脱問題で円高・株安基調が続く中、今後も物価は伸び悩む見通しで、デフレ脱却への道は依然として険しい。
厚生労働省が1日発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント上昇の1.36倍で、3カ月連続で改善した。総務省が同日発表した5月の完全失業率(同)は、前月と同じ3.2%だった。総務省は「雇用情勢は引き続き改善傾向」と説明した。
一方、個人消費は回復の足取りが重い。総務省が同日発表した5月の2人以上世帯の家計調査によると、1世帯当たりの消費支出は28万1827円で、物価変動を除いた実質で前年同月比1.1%減だった。
前年にあった補助金がなくなり住宅のリフォーム需要が落ち込んだほか、熊本地震の影響で観光が低迷したためで、2月にうるう年効果でプラスになったことを除けば、昨年9月からマイナスが続いている。