安倍晋三首相は24日夕、英国の国民投票でEU離脱が決まったことを受け、官邸で関係閣僚会議を開き、金融市場の安定化や国際関係の混乱回避に向けて先進7カ国(G7)をはじめ関係国と緊密に連携するよう指示した。首相は秋の臨時国会で大型の平成28年度第2次補正予算案を成立させて景気の下支えと成長を図る。世界経済の悪化が進めばアベノミクスの再構築も迫られる。
安倍首相は閣僚会議で、世界経済のリスクに金融、財政政策などを総合的に行うことで一致した今年5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の合意に沿って対応することを表明。「世界経済の成長と金融市場の安定に万全を期す」とし、麻生太郎副総理兼財務相に日銀と協力しG7各国と経済・金融面で必要な対応をとるよう指示した。
さらに、経済動向の分析や中小企業対策の検討、英国やEUとの外交協議を関係閣僚に指示した。麻生氏は24日夜、G7財務相・中央銀行総裁の緊急の電話会議を開き、「為替レートの無秩序な動きは悪影響を与え得る」などとした共同声明を発表した。
菅義偉官房長官は同日、「必要な措置を取るべき時は、しっかりと対応していく」と述べ、景気動向に合わせて消費増税の再延期で予定していた経済対策を拡充する考えを示した。年内合意を目指すEUとの経済連携協定(EPA)交渉について林幹雄経済産業相は「厳しくなったかもしれない」との認識を示した。