厚生労働省と観光庁が、一般住宅に有償で客を泊める「民泊」の新法制定に向け今月まとめる報告書で、年間営業日数の上限を明記しないことが9日、分かった。上限は不要と主張する不動産業界と厳格な制限を求める旅館・ホテル業界の調整が難しく、両省庁は今後の与党での議論を踏まえ結論を出すことにした。
政府の全体方針を検討する規制改革会議は民泊に関し、年間営業日数を「半年未満の範囲内で適切に設定する」よう答申し、今月2日閣議決定された。新法の具体案は、業界団体や学識者などを集めた厚労省と観光庁の検討会が、同答申を踏まえ報告書をまとめる。
ただ営業日数については、答申の内容を超える具体的な数字を示さない。「上限を設けると参入しづらい」と主張する不動産業界と、「30日未満が妥当」と訴える旅館・ホテル業界の隔たりが大きく、意見の一致が難しいためだ。また両省庁は、参院選で各業界の支援を受ける議員にも配慮。日数の問題は、今後の与党での議論を法案に反映させることにした。
海外では、米サンフランシスコ市が年間90日の営業を上限とするなど、住環境の維持やホテルとの共存を目的に日数や戸数などを規制している例が多い。