タイの首都バンコクで高級志向の商業施設が相次ぎ完成し、中心部が「買い物天国」に変貌している。来年、タイに初進出する高島屋をはじめ、日本勢も攻勢をかける。近年、タイは不景気だが、増加の一途をたどる中間層が消費を底上げする。
高架鉄道の駅に直結した流線形の白い外観。開放感あふれる吹き抜けの館内に入ると、シャネルやプラダなどの欧米ブランド店が目に入る。昨年3月にオープンした高級ショッピングモール「エムクオーティエ」だ。
タイ百貨店大手ザ・モール・グループが手掛け、旧館も含めて計約400店が入居し、富裕層のタイ人や外国人旅行者で連日にぎわっている。
エムクオーティエがある大通り沿いには、約5キロの区間を中心に真新しい商業施設が立ち並ぶ。この10年ほどの経済発展で国民の所得が増えたのを背景に、建設が相次いだ。現地紙によると、バンコク全域には120以上の商業施設がある。
「タイで誰も目にしたことがない華やかなランドマークをつくる」。今年3月下旬、地元財閥などの共同出資会社が記者会見し、来年完成予定のタイ最大級の複合施設「アイコンサイアム」の全容を明らかにした。