政府は20日、閣僚や有識者による「まち・ひと・しごと創生会議」を首相官邸で開き、人口減少克服に向けた地方創生施策の基本方針素案を示した。地方での若者の定住を促すため、地元企業によるインターンシップ(就業体験)を支援するなど、地域事情に応じた取り組みの必要性を明記した。月末に閣議決定する。
安倍晋三首相は会合で「地方への新しい人の流れをつくる。若者の転出が多い地域の企業で、東京圏で学ぶ学生がインターンシップを行う機会を提供していく」と述べた。
素案は、全市区町村(福島県除く)の約4割に当たる705市町村が、2040年までに全国平均の2倍以上の速度で人口が減少すると試算。東京一極集中が加速し、若年層の流出が続く地方の厳しい現状を踏まえ、各自治体が人口減対策の5カ年計画「地方版総合戦略」に基づき事業を実行する段階に入ったと強調した。
具体的な施策では、産官学が連携して地域で就業体験を推進する組織を設置。東京圏や地元の大学の学生らに参加を呼び掛け、地方で深刻化している人材不足の解消を目指す。
地方の雇用創出では、さまざまな機器をインターネットでつなぐ新技術「IoT」の企業での活用を促すため、自治体主導の作業チームの開設を支援。中小企業と大学が連携して商品開発や海外への販路開拓を進めるプロジェクトを5年間で1000件立ち上げる。
インターネットで町づくりなどの手法を講義する「地方創生カレッジ」を早期に開設し、専門人材の育成を図る。観光振興に向け、市町村に民間の人材を一定期間派遣する制度も検討する。