日本文化を海外に紹介する試み、一方通行では限界がある (1/3ページ)

2016.5.15 06:00

 日本文化を海外の人に紹介する試みは色々ある。武道や華道などのレッスンも一例だ。

 ぼくは、それぞれの全てを実際に知っているわけではないが、4月23日-25日の3日間、ミラノで行われたWSET(Wine & Spirits Education Trust)のレベル3(上級コース)の日本酒コースを見学して、「これほど体系的に日本の文化を短期的に学習できるプログラムがあるだろうか」と感じた。

 WSETとはワインとスピリッツの専門家を育てるプログラムを組む英国政府認定の協会だ。ここが2014年から日本酒のコースをスタートさせたのだ。現在、このコースは英国以外でも香港、ボストン、ポートランド、ドバイなど世界12都市で展開されているが、イタリアではこの4月が初めてだ。 

 12人の生徒の参加者はイタリア各地から集まったイタリア人のみならず、スペインからの日本人もいる。シェフ、ソムリエ、輸入など酒に何らかのカタチで職業的に関わっている人たちがメインである。

 講師はWSETから認定を受けたマルコ・マッサロットさん。国内トップのデジタルマーケティング企業を経営する傍ら、酒道という日本酒や和食を普及するNPOを主宰し、定期的に酒の試飲会を行う。2年連続、ミラノ酒フェスティバルも開催した。またイタリア人グループを引率した日本各地のグルメ旅行も実施する。

 WSETの日本酒プログラムの作成メンバーであるミュージアム・オブ・サケの菊谷なつきさんが、ビデオでロンドンから常にレッスンの進行をチェックし、適時、生徒に質問したり、マッサロットさんの説明の補完をする。

 

 言語は英語だ。資料も全て英語で生徒もテストに英語で回答しないといけない。WSETが最終的にチェックを行うためだ。今後、各国語にローカリゼーションも行われていくが、日本酒のコースはまだその段階に至っていない。

このコースが設けられた背景には、日本酒について正確に説明できる人材なしに…

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