宅配便の届け先が留守のときに、配送会社の担当者(運転手)は不在票を残して荷物をいったん持ち帰る。改めて配達することを「再配達」というが、その割合は20%を超えているという。宅配便を4~5個運べば必ず1個は再配達が発生する計算だ。
インターネット通信販売の市場拡大に伴い、宅配便の取り扱い個数は急増している。2014年の宅配便の個数は36億1000万個であり、5年で15%拡大した。さらにメール便が別に54億6000万個あるから、合計で90億個を超える。ここに8億個前後の再配達が加わることで、宅配便・メール便は年間100億個の規模になっている。
配送会社や関係者の間では、さらに仕事が増え続ければ負担に押しつぶされかねないとの危機感が漂う。最も負担となるのが時間も労力も消耗する再配達問題であり、「宅配便システムが維持できなくなる」(国土交通省物流政策課)と、関係者らは警戒。国レベルの大問題となっている。
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問題の解決に向けて、国土交通省は昨年6月に有識者や関係業界による検討会を立ち上げ、同年10月に報告をまとめた。ネット通販会社、利用者、配送会社のそれぞれの立場で問題点をあぶり出し、解決策を示した。利用者アンケートで要望が強かったコンビニエンスストア店舗や鉄道の駅での宅配便預かりサービスの推進、居宅への新しい宅配ボックス設置、さらには一度で受け取った人へのご褒美ポイントの付与など、目新しい対策も示した。