特許庁は9日、国内の審査を経た特許がカンボジアでも審査なしに認められるよう、カンボジア工業手工芸省と覚書を交わしたと発表した。日本の特許が無審査で外国で取得できる協定は初。経済成長を続けるカンボジアなど東南アジア諸国連合(ASEAN)をはじめ、他の新興国への拡大も検討しており、日系企業の海外進出を後押しする。
今回の協定は7月1日から開始。国内で出願された特許が他国で認められるには個別に審査を受けなければならないが、カンボジアでは、日本で登録された特許は審査を受けることなく、認められるようになる。
カンボジアでは審査体制の不備で、これまでの累計で300件以上の出願が未着手状態という。このうち、製造業を中心とした日系企業の出願が最も多く、審査の遅さが進出企業にとってリスクとなっている。
同庁は、知的財産制度の整備が遅れている他の新興国にも協力関係を拡大する一方、意匠や商標についても同様の制度を広げる考え。中国企業などが日本の人気キャラクターや地域の特産品などの名称を無断で商標登録する「悪意の商標出願」への対抗策にもなるという。