外国為替市場で進む円高に対し、政府から為替介入を示唆する発言が相次いでいる。円高は力強さに欠ける日本経済に打撃を与えかねず、投機的な動きを防ぐ狙いもある。ただ、米国は介入に反対する姿勢を強めているうえ、日本は今月末の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で議長国を務めることになっており、思い切った動きに踏み切れないのが実情だ。
「(為替相場の)急激な変動は望ましくない。注意深く、よく見て必要に応じて対応していく」
安倍晋三首相は5日、訪問中のロンドンで記者会見し、政府による円売り介入を辞さない姿勢を示した。
麻生太郎財務相も3日に「投機的な動きが継続しないよう、これまで以上に注視し、必要な時にはしっかり対応する」と述べており、歩調を合わせる。
首相発言で介入警戒感が強まったこともあり、6日の東京市場は1ドル=107円台前半で取引され、円高傾向に歯止めがかかった。ただ、市場では「円高の流れが止まったとは言い切れない」との声が漏れる。