タイ政府が進める鉄道建設計画で、中国との協力関係に溝ができつつある。プラユット暫定首相は当初見込んでいた中国からの融資に頼らず、自力で資金を調達して高速鉄道を整備すると表明。背景には、沿線の開発権を要求するなど中国側の「過度な利益追求姿勢」(タイ運輸省当局者)があるようだが、タイ側も中国に頼らざるを得ない事情を抱えている。
「事業はわれわれの手でやることになった。これは誇るべきことだ」。3月24日、訪中を終えて帰国したプラユット氏は、首都バンコクの軍用空港で記者団にこう語った。
中国の李克強首相との会談で、高速鉄道の路線を当初計画の約3分の1の距離となる東北部ナコンラチャシマ-バンコク間に縮小したうえで、1700億バーツ(約5370億円)に上る費用を自力で調達する方針を説明。李首相は「タイは中国を信頼していないようだ」と不快感を示したという。