■グレー「租税回避」 厳格化へ国際協力強化
パナマ文書が世界的に大きな話題になっている。この文書は、企業のオフショア(海外)活動関係では業界世界4位と言われるパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の過去40年にわたる取引データが流出したものだ。その中に脱税資金や裏金、不正取引などが含まれているとみられている。既に顧客の名前と取引額の一部が公表されており、辞職に追い込まれる政治家も出た。しかし、これが全て違法というわけではなく、その多くが『合法的な取引』であることにも注意が必要だ。
例えば、ファンドなどの場合、運用主体の倒産などによる影響を防止するとともに、二重課税の防止のためオフショアに『特別目的会社』を設立し、顧客の運用資産を移している。そうしないと、運用会社が倒産した場合、影響がファンドに及ぶ。また、ファンドの運用に課税されれば顧客の取り分が減ってしまう。顧客はファンドの配当や売却時に税を払うわけであり、二重課税になる。
問題となるのは、このような正当な目的ではなく、脱税目的や裏金の保管のためにオフショアを利用している人や企業だ。合法的な税逃れのことを『租税回避』と呼ぶが、解釈次第でこれは違法な『脱税』にもなる。この境界線は曖昧だったが、国際的に厳格化が進んでいる。