【震災5年】被災地から「攻めの農水産業」 南三陸町・あまころ牡蠣 山元町・1粒1000円イチゴ (1/2ページ)

2016.3.10 20:49

小ぶりながら甘さの詰まった「あまころ牡蠣」。5月には首都圏を中心に出荷される=7日、宮城県南三陸町(西村利也撮影)

小ぶりながら甘さの詰まった「あまころ牡蠣」。5月には首都圏を中心に出荷される=7日、宮城県南三陸町(西村利也撮影)【拡大】

  • 土を使わず、日光量などを自動管理するハウスで栽培される「ミガキイチゴ」。品質の良い物は1粒1000円の値がつく=宮城県山元町(西村利也撮影)

 東日本大震災から5年を迎え、被災地では“攻めの農水産業”への転換が進んでいる。新たな技術やノウハウの活用で農水産品をブランド化し、高付加価値化や輸出拡大を図る狙いだ。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を視野に、農林水産業の競争力強化が課題となる中、逆境をバネに新たな成長を目指す。

 津波被害の痕跡が残る宮城県南三陸町志津川地区。この漁場で、国内でも珍しい1年物の未産卵カキの養殖が進んでいる。生産者の佐々木昇記さん(58)は「今年はかなり育ちがいい」と満足顔だ。

 震災前、同地域の養殖カキは2年物が主流だった。だが、津波被害から早期に出荷するため、平成25年から養殖期間が半年程度の未産卵カキに切り替えた。雑味のない独特の甘さにちなんで「あまころ牡蠣」と名付けられたこのカキは、今年の出荷見通しが2万個と前年の10倍に増えた。

 冬場に旬を迎える一般のカキと違い、出荷は3~7月が中心。5月からは通常の卸値の4倍近い1個約400円で、主に首都圏のオイスターバー向けに出荷される予定だ。

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