金融庁が、日銀のマイナス金利導入で地方銀行などがリスクの高い資金運用を拡大しかねないと警戒感を強めている。地方経済の疲弊で融資先が減るなか、これまでは、日銀に預金して金利を確保できたが、今後は一定規模の預金に手数料がかかり、利ざやも稼ぎにくくなったためだ。金融庁は、地銀などが行き先を失った資金を外債などリスク資産への投資で補い、財務体質が悪化しないか調査・監視する方針だ。
マイナス金利の導入を受け、金融庁は、地銀などを対象とした調査に乗り出した。システムの対応状況や収益、運用への影響を確認するほか、各種手数料の見直し方針なども調べる。
金融庁が地銀の監視強化に乗り出したのは、マイナス金利が各行の経営を圧迫する懸念があるためだ。
銀行は今まで、融資先が見つからない資金を日銀の当座預金に預けて金利を受け取ってきた。だが16日からは新たな預金に対し手数料がかかる。また市場金利の低下により、国債や貸し出しから得られる金利収入の減少も避けられない。
経営体力の弱い地銀ほど大きな打撃を受けかねない状況だ。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が15日まとめた試算によれば、地銀の本業のもうけを示す業務純益は、マイナス金利によって平成28年度に15%減ると推計した。大手行でも8%減るが、その2倍もの規模だ。