日銀による初めての「マイナス金利政策」の運用が16日、始まった。銀行がお金を貸し出さずに休ませておくと損をするという奇策だ。実質金利を押し下げることで世の中の金回りをよくし、「投資や消費を刺激する」という狙いがある。銀行が短期資金を貸し借りする市場では同日、一時、10年ぶりに0%の金利をつけた。
銀行が預け入れる日銀当座預金の残高は約260兆円(1月末現在)。このうち、昨年までに積み上げられた約210兆円には従来通り年0・1%の金利をつけ、大規模な金融緩和に協力してきた銀行には一定の利益となる。残りの40兆円にゼロ金利、10兆円にマイナス0・1%の金利をそれぞれ適用するが、これが銀行にとっては事実上の手数料となる。
マイナス金利を導入したこの日、短期金利の目安で銀行が資金の貸し借りをする無担保コール翌日物の金利の加重平均は0・001%(速報)だった。取引金利の最低は0%。余ったお金を日銀に預けて手数料を取られるよりも、金利が低くても貸した方がマシという考えが働いたようだ。
SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「欧州での経験や日本の金融機関の合理的な行動を踏まえると、徐々にマイナス金利が定着していく」と予測する。