【ソウル=藤本欣也】韓国の検察当局が22日、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長への無罪判決に対し控訴を断念した。大統領府に“はしご”を外された上、内外メディアの批判の矢面に立たされた検察に控訴強行の選択肢はなかった。
加藤前支局長を在宅起訴した昨年10月当時、法相だった黄教安(ファン・ギョアン)氏は現首相。起訴を強行したソウル中央地検トップの金秀南(キム・スナム)氏は今月、検察総長に就任した。こうした中で、自分たちが関わった起訴を否定した無罪判決に控訴しなかった。
背景には大統領府の姿勢の変化がある。そもそも加藤前支局長のコラムが掲載された直後の昨年8月、大統領府秘書官は「民事、刑事上の責任を最後まで問う」と断言。検察はこれを朴槿恵(パク・クネ)大統領の事実上の意思と見なし、在宅起訴に踏み切った。