観光立国の推進に向け政府は20日、訪日外国人旅行客を地方へ誘客するための環境整備事業費として、約100億円を2016年度予算案に計上する方向で最終調整に入った。旅館のトイレ洋式化や国際放送テレビの視聴整備などを後押しする。都市部における宿泊施設の需給逼迫(ひっぱく)を緩和するとともに、地方観光資源の有効活用で、訪日客数のさらなる上積みを図るのが狙い。
事業では、ホテルと比べて外国人対応が遅れている地方旅館などに対し、和式トイレを洋式にしたりテレビの国際放送を設置する費用のほか、生産性向上のための情報技術(IT)活用を支援する。また、都市部と地方をつなぐ交通拠点での公衆無線LAN整備や観光スポットでの多言語対応なども進める。
日本政府観光局(JNTO)の調査によると、訪日客は今月1日時点で1800万人を突破。「2020年までに2000万人」の政府目標は早期達成が見込まれる。政府は観光立国の推進を今後の成長戦略の柱の一つと位置付けており、有識者会議を立ち上げて、政府目標の上方修正を検討している。