2015.12.17 05:51
与党政策責任者会議で話す自民党の稲田朋美政調会長(右)と公明党の石田祝稔政調会長。両党は2016年度税制改正大綱を正式決定した=16日午後、東京・永田町の衆院第二議員会館【拡大】
2016年度税制改正大綱は、軽減税率制度を17年4月から導入するとした。だが、制度導入による税収の目減りを穴埋めする財源確保策は未定だ。事業者のシステム改修が間に合う保証もなく、大きな課題を残した。
穴埋めに増税案
与党協議は、消費税の軽減税率を飲食料品などへ適用することに伴う1兆円規模の税収の目減り分の穴埋め財源として4000億円分を確保するめどは付けた。しかし残る6000億円規模の見通しは立っておらず、大綱は「確実に安定的な恒久財源を確保する」と明記した。
財源候補としては、国の外貨建て資産を管理する外国為替資金特別会計の剰余金や、景気改善による税収の上振れ分を主張する声も与党内にあるが、振れが大きく安定財源と捉えるのは難しい。
与党には、正確な納税額を把握できるインボイス(税額票)の導入で、消費税が事業者の手元に利益として残る「益税」が1000億円規模で解消するとの期待もあるが、インボイス導入は21年度だ。与党では軽減税率のために赤字国債を発行しないことで合意しており、借金に頼ることはできない。
そこで浮上するのがさまざま増税案だ。その一つがたばこ税の増税。税金を1本当たり1円(1箱20円)上げると年間の税収は約1700億円増えると予想される。
また、自民党内で昨年浮上したパチンコの換金時に徴税する「パチンコ税」が再び俎上(そじょう)に載ってもおかしくない。パチンコ税を全国一律で導入すれば、1%分で約2000億円の財源が生まれるとの試算もある。携帯電話に対する新税を求める声が強まる可能性もある。与党は、来年夏の参院選後に財源探しを本格化するが、増税案が中心となれば消費者の反発は必至だ。