【ワシントン=小雲規生】米上院共和党トップのマコネル院内総務は11日付の米紙ワシントン・ポストのインタビューで、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の批准にあたる実施法案の審議を2016年11月の大統領選後に先送りする意向を示した。日米など12カ国による10月の大筋合意の内容について十分な賛成が得られていないためとみられ、米国のTPP批准は17年1月に発足する次期政権に引き継がれる可能性もある。
マコネル氏は「選挙前に実施法案を議会に送付することは大きな間違いだ」と指摘し、大筋合意への賛否も示さなかった。共和党は6月、大筋合意に不可欠とされた貿易促進権限(TPA)法の成立を後押ししたが、大筋合意の内容については、共和党内でも通商政策を管轄する上院財政委員会のハッチ委員長が強く反発している。
オバマ大統領は来年の早い段階での批准を議会に働きかけ、TPP成立を政治的遺産(レガシー)としたい考え。しかし、大統領選や議会選が近づくなかで議員らは大筋合意の内容を慎重に吟味するとみられ、実施法案の可決は難しいとの見方が強まっている。
大統領選の候補者では、民主党からの候補者指名が有力視されるヒラリー・クリントン前国務長官が大筋合意の内容への反対を表明済み。また、共和党側でトップを走る不動産王、ドナルド・トランプ氏も反対を明言している。