財政制度等審議会は24日、平成28年度予算編成に向けた建議で財政健全化への一段の加速を求めた。32年度に基礎的財政収支を黒字化するという目標がある中、来年夏の参院選を控えて与党内で歳出拡大を求める声が急速に強まっているためだ。財政再建にも目配りした予算編成ができるかどうか、安倍晋三政権は厳しい決断を迫られる。
「始めが肝心だ」。財政審の吉川洋会長(東大院教授)は24日の記者会見でこう強調した。
政府が6月にまとめた「骨太方針」では、歳出の伸びを28年度からの3年で計1兆6千億円に抑える「目安」を盛り込んだ。
建議では高齢化で増える社会保障費の抑制を軸に提言。麻生太郎財務相は24日の記者会見で「(財政再建への)方向性をきちんと出しておかないといけない」と強調し、政府内で診療報酬を引き下げる調整が始まった。
ただ、与党からは、27年度補正予算案と28年度予算案で、景気下支えのための財政出動を求める声が日増しに強まっている。