インドネシアは最低賃金の決定方法を改定した。ダルミン・ナスチオン調整相(経済)によると、同国政府は2016年から最低賃金を決める際に前年の成長率とインフレ率の上昇幅のみを指標とした方法を導入する。同相は、新方式によって企業の事業計画立案を容易にし、投資誘致につなげて雇用創出を図るのが目的と説明した。現地紙ジャカルタ・ポストなどが報じた。
同国の最低賃金はこれまで、地方ごとに算出する最低生活費をもとに決定していた。最低生活費の算出はベースとなる指標が60項目あるなど複雑なうえ、最低賃金決定の際には地方政府と労働組合の交渉内容も反映させるため、13年のジャカルタ特別州では一気に40%の引き上げになるなど近年は大幅な上昇も相次いだ。
新方式に用いられる指標はインフレ率と成長率のみで、たとえばインフレ率が5%で成長率が5%であれば、翌年の最低賃金は10%の引き上げとなる。企業にとっては、決定方法の簡略化で最低賃金の上昇幅を予測しやすくなるほか、地方によっては上昇幅がこれまでの算出方法よりも大幅に抑制されるなどの利点があるとされる。