日銀は7日、年間80兆円の国債買い入れなどを柱とする現状の金融緩和の継続を決めた。中国経済減速の影響が出始め、消費者物価もマイナスに転じるなど逆風が吹く中で、市場では内閣改造のタイミングに合わせて追加緩和に踏み切るとの観測も浮上していた。「黒田バズーカ3」ともいわれる第3弾の大規模緩和はなぜ“不発”なのか-。
「物価の基調も着実に高まっている」。日銀の黒田東彦総裁は同日の記者会見で金融政策の現状維持を決めた理由についてこう説明した。企業業績が過去最高水準を維持し、有効求人倍率、消費支出も改善している現状を指摘した。
ただ、8月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は原油安の影響で前年同月比0.1%下落し、28カ月ぶりのマイナスに転落。2日に日銀が発表した「企業の物価見通し」でも、1年後の物価上昇率は、前年比1.2%と6月の前回調査から0.2ポイント低下した。中国経済減速の影響で、7~9月のGDPが2期連続のマイナス成長となる懸念もある。
日銀の大規模な金融緩和は安倍晋三政権の経済政策アベノミクスの旧三本の矢の中でも第1の矢として円安・株高の原動力となり、デフレ心理の改善に寄与してきた。