【TPP大筋合意】「成長の大きな柱に」 産業界歓迎、農業は警戒感

2015.10.6 22:26

TPP大筋合意を受け、会見する経団連の榊原定征会長=6日、東京都千代田区(平尾孝撮影)

TPP大筋合意を受け、会見する経団連の榊原定征会長=6日、東京都千代田区(平尾孝撮影)【拡大】

 TPP交渉の大筋合意から一夜明けた6日、各界から巨大経済圏の誕生に対してさまざまな反応があった。経団連の榊原定征会長が「TPPのすべてが日本経済界の成長の大きな柱になる」と最大級の期待を表すなど産業界からは歓迎の声が多いが、農業関係者は警戒感をにじませた。

 TPP発効で関税が引き下げられれば、貿易が現在よりも活発化する見通しだ。商社の業界団体、日本貿易会の小林栄三会長(伊藤忠商事会長)は「他の参加国でのビジネス拡大の好機になる」とコメントした。

 輸出入する商品に掛けられる海上保険の取扱高が増えそうな損保業界も「アジア太平洋地域での商業機会の拡大が期待できる」(日本損害保険協会の鈴木久仁会長)と歓迎している。

 オーストラリア産の「タスマニアビーフ」をプライベートブランド(自主企画、PB)で展開するイオンは、「牛肉の関税の引き下げが正式に決まれば追い風だ」と期待する。ただ、別の流通大手は「輸入品の質の問題や国内農業への影響なども含めて、顧客のメリットを見極めたい」と慎重な姿勢を崩さない。

 吉野家ホールディングスは「牛肉価格は世界的な需給や為替レートが大きく影響するため、即、値下げとはいえない」と説明する。

 ワインについても、「関税だけが価格変更要因にはならない」(メルシャンの横山清社長)ため、値下げにつながるかは不透明。それでも横山社長が「市場全体が広がる可能性がある」と指摘するように、好意的な受け止めが大勢だ。

 一方、全国農業協同組合中央会(JA全中)の奥野長衛会長は「生産現場の受け止めは容易ではないと想定される。予算措置など万全な対応が不可欠だ」と強調した。

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