経済協力開発機構(OECD)は5日、多国籍企業が国際的な税制の“抜け穴”を利用した節税策によって、全世界で年間1千億~2400億ドル(約12兆~29兆円)の法人税収が失われているとの試算を発表した。OECDは同日、国際課税逃れ防止の新ルールを公表し、租税回避地(タックスヘイブン)を使うなどした節税策に歯止めをかける。
OECDは8日にペルーで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に新ルールの最終報告書を報告し、承認を得る見通し。OECDとG20に加盟する約40カ国は報告書の勧告を踏まえ、必要な法整備や租税条約の改正に取り組む。
OECDは、多国籍企業の節税策により、世界の年間法人税収の4~10%が失われると試算した。
新ルールは計15項目あり、▽課税ルールの再構築▽多国籍企業の情報の透明化▽課税紛争解決や租税条約締結の迅速化-という大きく3つの柱からなる。
例えば、米スターバックスの英国法人は、軽課税国であるオランダやスイスの関連会社に支払うコーヒー豆の輸入代金やロゴの使用料などを不当に高額なものとし、英国での利益を圧縮する手法で税逃れをしてきた。