【カイロ=大内清】世界記憶遺産への登録を審査する国連教育科学文化機関(ユネスコ)の国際諮問委員会は5日、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで2日目の審議に入った。
中国は、日中戦争時に「30万人以上」が犠牲になったと主張する南京事件の資料として、南京軍事法廷の記録や当時のものとする日記、写真などを提出。慰安婦に関しても、旧日本軍による慰安所の設置を示すとする資料の登録を申請している。
記憶遺産に登録されると、「歴史的に貴重な資料」と認定され、最新技術による保存や資料の一般公開が行われる。日本政府は、中国が提出した資料は真正性に疑問があるとして、登録を見送るよう働きかけを強めていた。
一方、日本は、戦後のソ連(当時)によるシベリア抑留に関する資料として、舞鶴引揚記念館(京都府舞鶴市)が所蔵する引き揚げ者の手記など570点を申請。また今回の会議では、奈良時代から江戸時代の社会や寺院運営の様子を伝える資料で、足利義満の直筆や織田信長の印が入った文書も含まれる「東寺百合文書」も審査を受ける。