TPP交渉が大筋合意に向け再び動き出した。日米など交渉参加国は月末から開く閣僚会合を今度こそ“最後の会合”としたい考えだ。ただ、交渉は知的財産の新薬データ保護期間など残された課題で参加国間の溝を埋めきれる保証はなく、「漂流」懸念と紙一重の状況に変わりはない。(本田誠)
「交渉はだいぶいい方向に進んでいる」
日本の交渉関係者は17日、今回の閣僚会合での大筋合意に自信を示した。
交渉参加国が閣僚会合の開催を急ぐのは、主要参加国の1つであるカナダで10月19日に総選挙が予定されているためだ。政権交代となった場合、これまでの交渉がほごにされる恐れがあり、選挙前に大筋合意を取り付けたいとの判断があった。甘利明TPP担当相もカナダの総選挙までに大筋合意できなかった場合、「(交渉が)年単位の時間を要する事態になることを危惧している」と危機感を示していた。
ただ、交渉は依然、楽観できないのが実情だ。
7月末に米ハワイ州で開かれた閣僚会合では、新薬データ保護期間について米国が12年、オーストラリアなどは5年を主張。乳製品では、ニュージーランドが日本や米国、カナダに大幅な市場開放を要求した。自動車では、関税撤廃の前提となる部品生産国に関するルール「原産地規則」をめぐって、メキシコやカナダが参加国内からの部品調達比率を62・5%、日本が40%台とするよう求めた。