【ラハイナ(米ハワイ州)=本田誠】大詰めを迎えている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉は、27日に首席交渉官会合を終え、28日から閣僚会合に舞台を移す。大筋合意に向け参加各国とも切迫感を強めており、交渉の出遅れが指摘されたカナダも重い腰を上げ始めた。閣僚会合は利害の対立する国同士の直接折衝が中心になる見通しで、知的財産などの難題について“膝詰め談判”で着地点を探る。
「依然残されている課題は各国のセンシティビティー(敏感な部分)が相互に絡み合う案件だ。閣僚会合や閣僚の2国間会談を通じて解決していかなければならない」。甘利明TPP担当相は27日、米ハワイで記者団にこう述べ、今回の閣僚会合で「最後」としたい考えを改めて強調した。
こうした思いは、参加各国で共有されているもようだ。
オーストラリアのロブ貿易相は豪州時間の27日、同国のラジオ局のインタビューに対し「米国の政治日程を踏まえれば、今週の交渉は極めて重要だ。もしも大筋合意できなければ、今後2年間は決着をつけることが極めて難しい状況になるだろう」と指摘した。甘利氏も「各国とも相当な決意を持って、本会合に臨んでいる」と述べた。
これまでは、交渉に後ろ向きなカナダが合意の障害となると懸念されたが、「カナダも切迫感を持って踏み込んだ(交渉の)カードを切り出した」(甘利氏)という。