環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉に参加する日米など12カ国は26日、米ハワイ州のマウイ島で首席交渉官会合の3日目の協議を続けた。TPPの協定文31章のうち、「投資」章などを議論。TPP参加国の企業が他の参加国で投資する際に、投資先国が原材料などの現地調達や技術移転など特定措置の履行を要求することを原則禁止することなどが固まった。
投資をめぐっては、このほか投資先の国が自国企業と同等の権利を外国企業に保障するよう規定。不当な財産の収用も禁じる。こうしたルールへの違反があった場合に、企業が投資先国を訴えることができる「投資家と国家の紛争解決(ISDS)条項」も導入する方向だが、資源国として投資を受け入れるオーストラリアが訴訟乱発を警戒している。投資は「知的財産」や「国有企業」などと並んで交渉が難航しており、決着は28日からの閣僚会合での政治判断に委ねられる見通しだ。
これまでの協議で、知的財産は米国と新興国などが対立する新薬のデータ保護期間以外の論点では一定の進展があったもようだ。国有企業では、国有企業への優遇措置を制限することなどでは一致。ただ、国有企業の多いベトナムやマレーシアが要求する例外扱いをどこまで認めるかで調整が難航しており、決着は交渉の最終盤までもつれ込む可能性もある。(米ハワイ州ラハイナ 本田誠)