新たな配車サービスを世界で展開しているベンチャー企業「ウーバー」のビジネスモデルの是非が、米国で論争の的になっている。ITを活用したサービス開発で市場を開拓し、新たな雇用を創出した点は高く評価されている。一方で、専業のドライバーを雇わない体制については、労働者から不当に搾取しているとの批判もある。2016年大統領選の候補者の間でも意見が分かれ、新たな争点になるとの見方も出始めた。(ワシントン 小雲規生)
「電話でタクシーの配車を頼むと現在位置を正確に伝えるのが面倒だし、支払いにも時間がかかる。ウーバーならこんなストレスはなく、料金もタクシーより2割は安い」。ワシントン市内の男性はウーバーの魅力をこう話す。
スマートフォンのアプリによる配車システムと、事前に登録した個人のマイカーを配車するビジネスモデルがウーバーの売りだ。アプリでは地図機能とクレジットカードによる支払いを一体化させて利便性を追求。タクシー会社のように専業の運転手を雇わない分、コストを下げられる。
一方、運転手の側にも空いた時間に手軽にお金を稼げるメリットがある。登録運転手数は16万人にも上り、このうち6割は他にも仕事がある兼業だ。