カンボジアの首都プノンペンから100キロ余り南に、「キリロム国立公園」がある。美しい松林や清流、滝があり、休日になるとカンボジア人が家族やグループでピクニックに訪れる。国内では代表的な観光地だ。
◆日系企業が開発
このキリロム国立公園の一画で、日系企業のA2Aタウンカンボジア(本店・プノンペン)によるリゾート開発が始まっている。同社は、カンボジア政府から公園内で開発許可を受けた約2000ヘクタールの敷地に、観光施設と教育機関を融合させた「リゾート学園都市」を建設する事業を2011年に開始した。
同社の猪塚武社長によると、投資額は約5億ドル(約618億円)。最終的な開発面積は1万ヘクタールで、投資総額はさらに増える予定という。
すでに「vKirirom」という名称で事業の一部であるリゾート施設が、6月下旬にグランドオープニングセレモニーが行われて開業している。猪塚社長は、セレモニーのあいさつで「キリロムを(同国西部の)シエムレアプに匹敵する国際的な観光地にしたい」と意気込みを述べた。
キリロムは、今では観光地として人気だが、観光客が安全に行けるようになったのはごく最近、00年代に入ってだ。カンボジアは1991年にパリ和平協定で内戦が終結したが、ポル・ポト派など反政府武装勢力との抗争が90年代の後半まで続き、国内の治安は不安定な状態が続いた。特に国境地帯や森林地帯などは、住民以外が立ち入ることは極めて危険とされた。