【高論卓説】新国立競技場問題 丸投げ防止、発注能力向上が不可欠 千葉利宏 (1/3ページ)

2015.6.5 05:00

 ■PMの重要性

 2020年の東京五輪のメーン会場となる新国立競技場の新築工事が現行計画から大幅に見直されるようだ。先月18日に行われた下村博文文部科学相と舛添要一東京都知事の会談で、屋根を架けると工期が間に合わず、工事費も予算を大きくオーバーするとして東京都に費用負担を求める事態となった。

 発注者である日本スポーツ振興センター(JSC)が新国立競技場の基本構想国際デザイン競技を開催したのは、3年前の12年7月のこと。9月に46作品の応募があり、11月にはイラン人女性建築家のザハ・ハディド氏を最優秀に選出。13年5月に基本設計条件をまとめ、14年5月には基本設計が完了した。それから1年間は実施設計を行っていたはずだが、今になって大幅な計画見直しが必要というのは何とも不可思議な話だ。

 公共工事では建築主=国民に代わってプロジェクトを統括する発注者=プロジェクトマネージャー(PM)の最大の仕事は「予算とスケジュールの管理」である。普通の設計者ならデザイン競技の段階であっても予算を考慮して作品をつくる。新国立競技場は当初から1300億円という予算が示されていたわけで、いくら優れた作品でも明らかに予算オーバーなら落とすのがPMの役目だろう。

 基本設計では発注者からの要望に基づき詳細なプランと構造・設備計画を決めるが、この段階で工事費や工期はほぼ固まる。もし予算オーバーなら仕様を見直すか、予算を上積みするか、速やかに対策を講じるのもPMの仕事。実施設計が始まって1年、10月の着工まで半年を切る今になって「予算も工期も足りない」と言われれば舛添知事が怒るのも当然。まずはPMを交代させて仕切り直しすることが不可欠だろう。

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