■岩盤規制緩和で生産性向上を
アベノミクスの成否は、第3の矢、成長戦略にかかっている。第1の矢と第2の矢は、鮮やかに円安と企業収益の改善をもたらし、デフレ脱却もほぼ実現した。それに比べて成長戦略の評判は今一つだ。中長期的に日本経済の成長力や国際競争力を取り戻そうという戦略だから、短期に成果を求めるのが間違いなのだが、法人税を減税し、岩盤規制といわれる農業改革に取り組み、社外取締役を増やして企業のガバナンスを改善すれば日本経済は復活するといわれても、あまり実感がない。
日本の国内総生産(GDP)の約7割を占めるサービス産業の生産性を上げ、成長産業に育てる政策がなければ大きな成長戦略とはならないだろう。日本は伝統的にものづくりが得意な国だといわれる。自動車産業やかつての電子工業とそれらを支えた中小企業を思えばその通りかもしれないが、それは戦後の製造業重視の産業政策が成果を挙げたのに比べ、国際競争力のあるサービス産業を育てる政策が成功しなかった結果でもあるように見える。