【イスタンブール=万福博之】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は9日夜、世界経済をテーマに初日の議論を終えた。世界的な脅威が拡大しているイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」などテロ組織の対応などについて意見が交わされ、テロ資金対策で各国が協調することを共同声明に盛り込む方向を確認した。
麻生太郎財務相は、イスラム国に邦人2人が殺害されたとされる人質事件を念頭に、「テロリストの暴挙による被害者が出ていることを絶対に許さない」と非難。イスラム国との交渉に関与した議長国のトルコをはじめとする各国に謝意を伝えたほか、中東の避難民への人道支援を拡充していくことを表明した。
麻生氏はまた、テロ資金対策など国際規制の中心を担う「金融活動作業部会(FATF)」の枠組みを活用し、「この分野の取り組みの強化が必要」と主張し、トルコのアリ・ババジャン副首相は「共同声明の中に盛り込むことを事務方に調整させる」と述べた。
会合では世界経済の現状やリスクについても意見交換。米国の利上げが近づく一方、日欧や新興国などで金融緩和が強化され、資金の流れに変調が生じていることを踏まえ、実体経済に与える影響を各国が注視していくことを確認した。