景気の足踏みを招いた主因とされる消費税率の引き上げをめぐり、政府が「もう一つの誤算」に見舞われた。「お釣り用の需要が増えるはず」と見込んで製造枚数を増やした一円玉は流通枚数が減ってだぶつく一方、十円玉と五十円玉は需要が伸びて製造枚数を急遽(きゅうきょ)、計画の約1.5倍に増やさざるを得ない事態になったのだ。
増税に対応した企業の戦略や消費者のライフスタイルの変化を読み切れなかったことが要因。10月に予定されていた再増税が先送りされるといった誤算も生んだ消費税は、再増税の実施に向けてさらなる試行錯誤が続きそうだ。
十円玉など1.5倍に
「準備をしたのに、思っていたほど増えなかった」。小売業界向けに釣り銭の両替を行う業者は首をかしげる。昨年4月に消費税率が切りの良い5%から8%に変わることで、一円玉の釣り銭需要が高まると判断してストックを増やしたが、一円玉の注文は予想外に少なく、見込み違いに終わった。この業者は「今後は一円玉だけでなく、全種類の貨幣をバランスをとってストックしていく」と話す。