中国社会科学院工業経済研究所が先ごろ発表した「中国工業発展報告2014年」によると、中国の賃金レベルは過去十数年間で大幅上昇し、製造業の平均賃金は東南アジアや南アジアのレベルを大きく上回り、労働コストの優位性は失われた。ただ、現在は上昇幅が縮小しており、今後は以前のような大幅上昇はないとみている。
報告では、高度経済成長で労働需要が拡大、最低賃金基準の制定や若年労働力の不足といった要因が重なり、大幅な賃金上昇が続いたと分析する。
中国国家統計局によると、13年、全国の都市の(国有企業など)公的企業に勤務する従業員の年平均賃金は5万1474元(約96万4600円)で、そのうち鉱業は前年比5.6%増の6万139元、製造業は11.5%増の4万6431元だった。製造業で、東南アジアや南アジアと大きく差がついている。
これについて報告では、日本貿易振興機構(ジェトロ)が13年12月から14年1月に調査したデータを引用。上海の単純労働者の月額賃金は495ドル(約5万8000円)で、クアラルンプール(マレーシア)の1.15倍、ジャカルタ(インドネシア)の2.05倍、マニラ(フィリピン)の1.88倍、バンコク(タイ)の1.35倍、ハノイ(ベトナム)の3.19倍、プノンペン(カンボジア)の4.9倍、ヤンゴン(ミャンマー)の6.97倍、ダッカ(バングラデシュ)の5.76倍、ニューデリー(インド)の2.2倍、コロンボ(スリランカ)の3.8倍に達しているという。