BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の2015年は「転換の年」となりそうだ。自国通貨ルーブルの大幅な下落に見舞われたロシア。高速成長から中高速成長へとかじを切る中国。14年に国政選挙が行われたブラジル、インド、南アフリカ。5カ国とも経済政策の転換を迫られている。日本貿易振興機構(ジェトロ)の各国事務所が15年を展望する。
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■産業界の声踏まえた再建重要
2014年のブラジル経済は、年初の見通し2%を大きく下回る0.2%程度の成長にとどまるとみられている。その背景には、中国など新興国経済の足踏みに伴う資源・食糧価格の下落、経済・財政の不振と大統領選挙への警戒感などに起因する通貨レアル安がある。輸入物価高騰などによるインフレの高止まり、インフレ抑制に向けた金利引き上げに伴う消費への悪影響などが顕在化し、経済の悪循環が目立った1年となった。
15年のブラジル経済について、政府は0.8%程度の成長にとどまるとみている。応用経済研究所(IPEA)のパウロ・レヴィ氏は「15年は調整の年。政治が鍵を握る。安定した経済活動を下支えする経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)の立て直しが不可欠だ」という。
経済低迷への対策が明確に示されず、財政状況も悪化を続けるブラジルに対しては、格下げの懸念すら持たれている。現在、投資適格級の最低ラインにとどまっているブラジルにとって、仮に格下げとなれば「投資不適格」に転落することを意味する。地場金融関係者は、投資不適格となれば、ブラジルから多額の資金が引き揚げられ、ブラジル経済がさらに混迷する可能性があると指摘している。ブラジルとしては何としても避けたいシナリオだ。